幻の盈進舎 色絵金彩貼花雀文耳付壺 出石焼 ショップ 東山焼 永世舎

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幻と言われる出石の盈進舎製花瓶を出品致します。
本作は、兵庫陶芸美術館収蔵品(添付写真9・10参照)と同手の品物になります。現在も盈進舎という窯がありますが、これは明治の盈進舎とは全く関係がありません。
明治初期の僅か10年程の間に製作された盈進舎の優品は、ほぼ全て博物館や美術館に収蔵されているため、新たに市場に現れるのは10年に一度あるかないかでしょう。

本作は、出石特有の琺瑯のような素地に、これも当時の盈進舎が得意とした貼花細工が施されています。
高さは18.5cmの小品ですが、美術館に収蔵されているだけあって、高級美術磁器のみを製作した盈進舎の特色を遺憾なく発揮した逸品と言えましょう。
玉子の殻のような薄さで作られた花弁の何枚かはさすがに失われていますが、ワレ、カケ、ヒビなどの瑕疵はなく、とても良い保存状態です。

以下、盈進舎の概要を記します。

明治維新直後の出石では失職した藩士を救うための事業を振興する必要に迫られており、失職士族の授産と江戸期から続く出石焼の改良発展を目指して明治9年(1876年)「盈進社」(えいしんしゃ)が設立されました。盈進社の設立に伴い、肥前(佐賀県)有田村から鍋島藩窯の御細工人であった陶工柴田善平を招聘し、士族の子弟数十名を集めて伝習させました。その成果は1年後には現れ、今までの出石には類例をみない絶妙精緻な作品を明治天皇の京都行幸時には上覧に供して白磁の花瓶を献上しました。同年中にフランスのパリ博覧会に出品、東京で開催された第1回内国勧業博覧会に盈進社作品を大量に出品するなど、一躍出石磁器の名声を天下にとどろかすことになりました。
その後、一般的な不景気に加え、経営資金の不足、高級品の販路の限界などで経営難に陥り、盈進社は明治18年(1885年)に廃業しました。

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